コロナ渦での自宅分娩

その方は元々自宅分娩希望の方だった。

陣痛が始まったということでその方の自宅に向かった。そろそろ陽が沈もうかという頃だった。ドアを叩き中に入り挨拶を済ませた後、ガウンを装着した。陣痛はまだ弱くもう少し時間がかかりそうだった。夕飯時になったので「私たちのことは気にせず、ご家族で食事をしてください」と告げオープンになっている分娩用に布団の敷いてある隣の部屋で待機した。外は陽が沈みいつの間にか真っ暗になっていた。そしてその部屋はできるだけ自然に過ごしたいというご家族の思いがあり40wの電球が下げられていた。静かな暗めの部屋でご家族の食事の音が聞こえていた。何とも言えない穏やかな昔にタイムスリップしたような空気感。いいなぁ自宅分娩。自宅分娩専門の助産師をしていた時期もあった私は久しぶりの自宅分娩にそう強く感じていた。

食事が終わり陣痛が進み何事もなくするすると赤ちゃんが産まれてきた。穏やかに穏やかに家族の見守る中で元気な産声を上げた赤ちゃんはパパとお兄ちゃんにそっくりだった。当たり前のようにお母さんの横に寝ている赤ちゃん。お母さんも赤ちゃんもお父さんもお兄ちゃんも笑顔。幸せな光景。

その方は元々自宅分娩が希望だったが、コロナ渦で立ち合いができなかった方や里帰り先から帰ってこれず夫と離れ離れだったという方の話も聞いた。他の人と接触することのない自宅での出産は家族の絆を深めるにも感染防止の意味でもありだなと思った。もちろんそれ以前に出産でのリスクを最小限にするための健康管理が大切なことは言うまでもないが。健康管理についても自宅分娩をするという目標があればそれまで以上に自分の身体と生活を見直すことになる。

自分の身体を知る、生活を見直す、健康のために自分で積極的にいいことは続けて見直すべきは改善する。これも自立だなぁ。自宅分娩っていいなぁ。

 

 

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